フランスで最長のロワール川中流域にあり、豊かな自然に恵まれ、その土壌も素晴らしく、野菜や果物の栽培も盛んに行われている地方です。 歴史的な古城が点在することから「フランスの庭」とも呼ばれ、観光地としても親しまれ、2000年にはユネスコの世界遺産にも認定されました。 葡萄畑はロワール川流域に広がり、東西に長いことから気候、地理・地質的にも多様性に富んでおり、多くの種類の葡萄が植えられています。 栽培地は、大きく分けて州都トゥールに一番近いトゥーレーヌAOC、トゥールから東のシュヴェルニーAOC、トゥールから西の方角でロワール川右岸に位置するブルグイユAOC、左岸のシノンAOCが有名です。 西に行く程、海洋性気候、東に行く程、大陸性気候の影響を受け、ロワール河とその支流によって造られるミクロ・クリマも葡萄栽培に大きく関わっていると言われています。
生産者名 | Victor NITSCH ヴィクトール・ニッチ Marceau DUMAS マルソー・デュマ |
Genillé ジェニエ
トゥーレーヌ地方、サントル・ヴァル・ド・ロワール地域圏のコミューン。アンドル=エ=ロワール県の南東部に位置します。
Loches ロッシュ
同じくサントル・ヴァル・ド・ロワール地域圏のアンドル=エ=ロワール県にあるコミューン。トゥールの南東約40キロに位置します。
パリの自然派カーヴで4年間カーヴィスト兼ソムリエとして働いていたヴィクトールは、のちに生産者の道を志し、アルザスのドメーヌ・オステルタグでブドウ栽培と醸造学のBTSを取得します。また、黒ブドウ品種からワインを造る方法を学びたいと思ったヴィクトールは、カオールのドメーヌ・ラ・カルメットで刺激的なワイン造りのシーズンを過ごし、多くのことを学びます。
一方で、アンジェでワイン専門の農業エンジニアとして働いていたマルソー。マコンのドメーヌ・ラ・スフランディエールのブレット兄弟のもとで2年間働いた後、アルザスで経験を積むことを決意します。その後、ドメーヌ・オステルタグ、ドメーヌ・アキレで働き、トゥーレーヌに戻ったマルソーは、ノエラ・モランタンのもとで2シーズンのワイン造りを経験します。
二人は、共に修行先となったドメーヌ・オステルタグで出会いを果たし、それぞれの経験を持ちよりトゥーレーヌで合流。自分たちのプロジェクトを立ち上げます。
彼らが言う「プロジェクト」とは、歴史的なブドウ畑、ル・ロショワにブドウの樹を植え替えること。ロワールのこの地域は、今日ではほとんど知られていませんが、かつては偉大なワインを生産していました。素晴らしいテロワールがあると確信していた彼らは、ここに、ブドウの樹を植え替えるための土地を購入します。
そして、このプロジェクトが実現するのを待つ間、彼らは”negoce artisanal ”を開始します。
有機栽培農家または有機栽培に転換して3年目以降の農家からブドウを購入し、自分たちのチームで手摘み収穫をし、ロッシュ近郊のジェニェにあるワイナリーで圧搾をします。圧搾には特に注意を払う彼ら。これがワインの品質を左右する鍵のひとつだと考えます。そのために、1867年製の古い手動式圧搾機を使用し、ブドウを約13時間もかけて非常に優しく圧搾をする。このプレス工程により、ワインの複雑性に大きな役割を果たす数多くの抗酸化物質とポリフェノールを優しく抽出することができるといいます。
醸造に関しては、100%土着酵母を使用しています。瓶詰め時に少量の亜硫酸(10mg/l未満)を使用する以外、他の添加物は一切使用していません。例外的に、ワインが自分たちの望まない方向に進んでいると感じた場合は、醸造中に微量の亜硫酸を使用することがありますが、目標は、できるだけ自然で、欠点がなく、テロワールを反映したピュアなワインを造ることです。
植樹を開始した75アールの区画で、2024年ヴィンテージから自社ブドウの最初のワインを生産する予定。
まずは、彼ら初ヴィンテージとなる2023年のネゴスキュヴェを、丁寧に繊細に、そして綺麗に醸す彼らの表現を、是非お楽しみになさってください!
《テイスティングコメント》
淡く黄緑がかったイエロー色。塩味をまとったヨード香。控えめな柚子のような柑橘のニュアンス。
レモングラスやジャスミンの爽やかさ、白い花と夏の果実のアロマが繊細さを演出。
シャープな酸味がありながら口当たりはまろやかでコクがある。 この逆説的なバランスが、このワインに奥行きを与えている。
余韻に海藻のような旨味と程よい苦みが残る。
《テイスティングコメント》
赤みがかった綺麗なムラサキ色。濃さは中程度。
ツユクサやアジサイを思わせる瑞々しさ。フレッシュなザクロ、イチジク、ほんのりスモーキー。
繊細さと果実味に満ちている。アタックはフローラルで、ガメイの個性に支えられ、フィニッシュはピノ・ノワールのエレガンスが際立つ。
《テイスティングコメント》
ほんのり濁った淡い黄金色。
歓びを感じさせる寛大で開放的な印象。フローラルな香りをベースに、華やかなパイナップルのインパクト。わずかに蜂蜜のニュアンスが感じられる。
ユリのような艶めかしさをまとい、時間と共に開いていく。