パリの自然派カーヴで4年間カーヴィスト兼ソムリエとして働いていたヴィクトールは、のちに生産者の道を志し、アルザスのドメーヌ・オステルタグでブドウ栽培と醸造学のBTSを取得します。また、黒ブドウ品種からワインを造る方法を学びたいと思ったヴィクトールは、カオールのドメーヌ・ラ・カルメットで刺激的なワイン造りのシーズンを過ごし、多くのことを学びます。
一方で、アンジェでワイン専門の農業エンジニアとして働いていたマルソー。マコンのドメーヌ・ラ・スフランディエールのブレット兄弟のもとで2年間働いた後、アルザスで経験を積むことを決意します。その後、ドメーヌ・オステルタグ、ドメーヌ・アキレで働き、トゥーレーヌに戻ったマルソーは、ノエラ・モランタンのもとで2シーズンのワイン造りを経験します。
二人は、共に修行先となったドメーヌ・オステルタグで出会いを果たし、それぞれの経験を持ちよりトゥーレーヌで合流。自分たちのプロジェクトを立ち上げます。
彼らが言う「プロジェクト」とは、歴史的なブドウ畑、ル・ロショワにブドウの樹を植え替えること。ロワールのこの地域は、今日ではほとんど知られていませんが、かつては偉大なワインを生産していました。素晴らしいテロワールがあると確信していた彼らは、ここに、ブドウの樹を植え替えるための土地を購入します。
そして、このプロジェクトが実現するのを待つ間、彼らは”negoce artisanal ”を開始します。
有機栽培農家または有機栽培に転換して3年目以降の農家からブドウを購入し、自分たちのチームで手摘み収穫をし、ロッシュ近郊のジェニェにあるワイナリーで圧搾をします。圧搾には特に注意を払う彼ら。これがワインの品質を左右する鍵のひとつだと考えます。そのために、1867年製の古い手動式圧搾機を使用し、ブドウを約13時間もかけて非常に優しく圧搾をする。このプレス工程により、ワインの複雑性に大きな役割を果たす数多くの抗酸化物質とポリフェノールを優しく抽出することができるといいます。
醸造に関しては、100%土着酵母を使用しています。瓶詰め時に少量の亜硫酸(10mg/l未満)を使用する以外、他の添加物は一切使用していません。例外的に、ワインが自分たちの望まない方向に進んでいると感じた場合は、醸造中に微量の亜硫酸を使用することがありますが、目標は、できるだけ自然で、欠点がなく、テロワールを反映したピュアなワインを造ることです。
植樹を開始した75アールの区画で、2024年ヴィンテージから自社ブドウの最初のワインを生産する予定。
まずは、彼ら初ヴィンテージとなる2023年のネゴスキュヴェを、丁寧に繊細に、そして綺麗に醸す彼らの表現を、是非お楽しみになさってください!