「プース・ピエ」(=フジツボ)は小さな海洋性甲殻類である。私たちはブルトン人の出身を反映させるためにドメーヌ名にこの名前を選んだ。ブルターニュでは、多くの時間を海辺で過ごし、散歩や釣りに時間を費やした。フジツボは南ブルターニュの海岸を象徴する種であり、私たちは特にグロワ島でフジツボを採取して食べるのが大好きだった。そう語るのは、小学生の頃からの同級生でブルターニュ出身の仲良し二人組、コランタンとセバスチャン。
彼らがワインの世界を知ったのは、2010年にエルヴェ・ヴィルマードの収穫を共に手伝った時でした。それをきっかけにワインへの情熱が高まり、アンボワーズの農業大学で葡萄栽培のディプロムを取得します。
その後、ヴーヴレのヴァンサン・カレムやジュリアン・ピノーで職業体験をし、コランタンはノエラ・モランタンで3年間、セバスチャンは引き続きジュリアン・ピノーで2年間働きます。その他にも、ドメーヌ・レオニヌ、ジェフ・クトゥル、ティエリー・ピュズラ、ローラン・サイヤールなどの自然派ドメーヌのもとで、さまざまな栽培方法や醸造を学び、多くの経験を積んだ二人は、いよいよ海を離れ、Châteauvieux(シャトーヴュー)の、下層に石灰岩そして粘土と石が多く混ざる素晴らしい土壌をを手に入れることを決意します。
2023年にドメーヌを立ち上げ同年ファーストヴィンテージをリリース。ワインにフレッシュさをもたらすこのテロワールがとても気に入っているという二人。現在1.5ヘクタールのソーヴィニヨンとシュナンを栽培しています。畑の一部はワイナリーから目と鼻の先、粘土質の多いテロワールにあり、もう一部は、サン・ジュリアン・ド・シェドン村の一番高いところに位置する、冷涼で風の強い場所にあります。
ワイナリー周辺の美しいテロワールを徐々に回復させることにも穏やかに情熱を燃やしている彼らは、土壌に化学薬品を一切使用せず有機栽培に取り組んでいます。
一緒にワインを造り、それぞれの経験を最大限に生かすために常に意見を交換し合う彼らは、ワインをより複雑なものにするために、さまざまな醸造方法やいろいろな容器を試し、酵母も添加せず清澄も濾過もせず、自然にワインを醸造したいと考えます。すべてほとんど、あるいは全く手を加えずに。
初ヴィンテージとなる2023年は、自ら栽培した葡萄と彼らと価値観を共有する信頼のおける生産者からの買い葡萄で5つのキュヴェをリリースします。ピュアで真っ直ぐ、心優しく繊細な彼らを反映したようなワインたちは、素晴らしい個性とセンスに溢れています。